On the Homefront

東京大学文科3類ドイツ語クラス卒業生の共同ブログです。個々人が、それぞれに思うことを述べていきます。

キャンパスガールが終わった

『キャンパスのひと』という文字列を見て反射的に文章を書いている。東京大学新聞の最終面でおなじみの連載だった『キャンパスガール』『キャンパスガイ』がとうとう改名したのだそうだ。 『キャンパスガイ・ガール』は男性・女性に二分されない多様な性の在…

kentz1さんの退職のこと、その他

江藤です。昨日友人と長々と電話しました。タイトルにあるとおり、kentz1さんの退職のことなどについて。kentz1さんの退職エントリに関しては以下です。 note.mu 私も友人もkentz1さんと同じ年に同じ大学に入り、しばしばkentz1さんのツイッター上の動向に注…

世界の終わりでアン・ドゥ・トロワ、あなたの脳内に直接話しかけています、私は行きませんが…… インターネット時代の絶望(インターネット時代の絶望とは言ってない)

私たちを襲う虚無は、初めは「何やりゃいいのさ」という衒いのない戸惑いのようなものだったという。それはもしかしたら言語ゲームに参入する際、神経生物学的インフラとして各人に備わっているパラメーターとしてのエネルギーが無意識的に供給されていると…

先生の思い出

中高時代お世話になった教諭が亡くなった。先生の訃報が私の耳に入ったのは、私の端末の液晶上に突如現れたグループラインによってだから、目に入ったという表現の方が、事実上は正しい。 私の通っていたのは中高一貫校の私立でついでに言えば別学だった。最…

「東大を舐めている全ての人たちへ」を読んで:勉強に面白さを感じるということ

note.mu 江藤です。上記記事を読み、久々にこのブログを更新しようと思うほど、そこはかとなく辛く感じました。 確かに東大合格までにはかなりの訓練と、それをこなすだけの時間・エネルギーが必要なことは事実です。しかし別にそれは一から十まで苦しいもの…

東北出身者は検定試験にもケチつけられなきゃならんのか

平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験問題 作者: 公益財団法人日本国際教育支援協会 出版社/メーカー: 凡人社 発売日: 2018/03/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 日本語教育能力検定試験、つまり日本語母語話者でない人に日本語を教えるた…

遠足の準備より遠足当日を素直に楽しいと思えた夏

遠足は当日よりも準備してる間の方が楽しい、みたいな傾向が多分にあって、例えば週末が楽しみだったとして、昔から木曜日あたりが一番好きだった。日曜日はあまり好きじゃない。楽しみにしてた週末が終わって、次の週末が一番遠くなる日だから。 とにかく何…

一年ぶりに考える、私が文三だったわけ

将来の夢ってはっきり決まっていたことがない。やりたいことを絞るには、世の中には知らないことが多すぎて、将来なりたい仕事なんてまだまだ選べるわけがないといつも思っていた。おそらく道を一つに定めていた方が何かと楽にやっていけたのだろうが、決め…

大急ぎロシア観光 その7:快晴のネヴァ川にて

前:大急ぎロシア観光 その6:偉大なる都市への讃歌 - On the Homefront 後になってガイドさんに聞いた話なのだけれど、サンクトペテルブルクの冬は本当に日照時間が少なく、3月でも雲一つない快晴なんてほとんど見られないのだそうだ。にもかかわらず、私…

こじつける理由が欲しいだけ

要らない遠慮をして楽しみを楽しめなくなるのは嫌だから、日付にはあまり特別な意味を持たせたくない。ただ日付が同じだからというだけで何の生産性もない感傷に浸ることは一番しょうがないことだと思うのだけれど、それでも、私はいまだに何かにつけてこの…

突発的文具レビュー その1

中高生のときはとにかくシャーペンが好きでしょうがなくて、とにかく手に入る限りのシャーペンを買い集めることに命をかけていた。今でもシャーペンに限らず文房具めっちゃ好きなんですが、集め始めてそこそこの年月になるし、せっかくなので文具レビューを…

あけましておめでとうございます:経済分野の新書を読んで迎えた年始

あけましておめでとうございます。 年末年始はだらだら本を読んだり映画を見たりし、その合間に美味しいものをしこたま食べるなどしていたら終わっていました。そう言えば、お風呂屋にも三回行きました。以下では、読んで面白かった本を紹介します。なんとな…

マジョリティの言い分

日曜朝のヒロインアニメはもう長いこと見ていないんですが、2018年に「子育て」がテーマの作品をやると聞いて黙って聞き流す気にはなれなかったので、全然関係ないんだけど思い出したことを書く。 私はむしろ、マンガにしろ映像作品にしろ一昔前の子供向け作…

暴力を描く作品を欲する

ふらふらとただ快を求めているうちに、快に溢れるというのではないが、不快がほぼない生活を得た。「得てしまった」という方が正しいかもしれない。通勤時間は長いが都内からの下りなので行き帰りともに座れないということがない。大抵の場合は座った席の隣…

あの頃に戻りたくない

ハタチを過ぎたあたりから年を取るのが嫌になった。などと思ったりはしていながら、昔に帰りたいとか子供に戻りたいとは、想像していたほど、というか全然、思わないんですね。 こういうことを実感するために私はたくさん言葉を書き散らしてきたのだ。過去に…

照射(ショウシャ)

昨日、生活で起こったことを書いてみて、現在、また書きたいという気持ちが生まれている。これまで他者を意識する際の緊張が、公開するつもりで文章を書く際にも、走り、沈黙は金として抑圧してきたものが限りなくあったはずだし、任意の出来事を書くにあた…

15時あるいは16時の話

高校生の頃、たしかに私は意志の力を信じていたように思う。より正確には、意志が現実世界に及ぼす影響を、その意志の推進力を疑わない方が自然な程度には有用だと思っていた。漠然とそれまでの学校教育は「意志をもつことの大切さ」を折に触れて訴えてきた…

生きる時間が足りない

週5日勤務とか一日8時間労働とかほんとバカだなと思う。それですら最低ラインって、生きてるヒマを確保するにはどう考えても時間が足りないだろ。 まあ中高生のころはもっと時間が足りなかった。それでよくやっていけたなあと思うけれど、あのころは目の前…

親に反抗する子供達の様が安易かも… 映画ITを観た感想

昨日友人に誘われて映画ITを観た。前半は映し方、テンポともに本当によく、ハリウッド映画のソフィスティケーションはすごいなとただただ感心していた。ここ最近Jホラーばかり観ていたこともこの感想に影響している。 しかし、表題にあげた通り、後半の、特…

大急ぎロシア観光 その6:偉大なる都市への讃歌

前:大急ぎロシア観光 その5:乗り物のこと - On the Homefront 列車を降りた瞬間、ホームで流れてきた音楽があまりにもよく知っている曲で、今度こそ本当に涙が出てきてしまった。グリエールのバレエ音楽『青銅の騎士』の終曲、『偉大なる都市への讃歌』。…

ポテンヒット、馬が合わない、スポブラ

2001年から始まった漫才のコンテスト、M1グランプリが今年も開催されている。決勝戦の行われる年末にむけて、現在、準々決勝までが消化された。 (読み飛ばしてほしいんだけど、これまでお笑い関連の記事を書いたことがなかった気がするので、自分がお笑いを…

大急ぎロシア観光 その5:乗り物のこと

前:大急ぎロシア観光 その4:本屋と文房具 - On the Homefront ドム・クニーギからの帰りは一人で地下鉄に乗った。モスクワの地下は交通網が発達していて電車の本数も多く、どこまで行っても値段は一定なので、目的地さえ分かっていればてきとうに乗っても…

宮崎駿の新作タイトルが『君たちはどう生きるか』だと聞いて驚く

どうやら宮崎駿の新作映画のタイトルは、朝日新聞によれば『君たちはどう生きるか』らしい。正直かなり驚いた。この情報は朝日新聞デジタルより。 www.asahi.com 同記事にも言及があるように、このタイトルは吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』からとった…

社会と個人〜二項対立とスペクトラムとそのあいだ〜

ツイッターなんかを見てると、たまに架空の対義語をつくったりしてる言葉遊びのようなものがタイムラインに流れてくるけど、私は小学校のころ、類義語と対義語の勉強をしていたとき、「社会」という言葉の対義語は「個人」であると習って、そこそこ驚いた記…

愚痴はダメ?

先日適当な記事を書いてしまってから、なんで愚痴っぽくなることがダメなんだ?と自分で自分にツッコミを入れる羽目になった。愚痴っぽくなるのは良くないと私が思った理由は簡単で、そういうことはあまり人に聞かせるべきことではない……ということになって…

ためしに読書記録〜読書の秋とわからない季節感〜

めちゃくちゃサボってました(すみません) (最後に投稿したとき、めちゃくちゃ暑かったときの話をしたのに信じられないくらい寒くなってしまいましたね……) インターネットに何か投稿ないし送信するとき、後から見たときに、なんかそこに等身大の自分の石…

雨の日の投票所へ行ってきます

数日前から小説が全く読めなくなってしまっているのだけど、なぜかといえば、実社会での話題に感心が向いているからだ。選挙が気になっているのである。正確にいえば、選挙自体の結果というよりは、選挙に際して噴出する様々な議論が気になっているのだ。そ…

好きな季節

放っておくと愚痴っぽくなるので意識的に好きなものの話を書くことにする。 突然季節が変わって、肌が寒さを感じ取った瞬間、反射的に心が高揚する。10月くらいの空気が一年で一番好きなんだよなあ。夏が遠ざかっていくのを感じられるのが好きだ。 まあやっ…

国分拓『ヤノマミ』を読んだ

今日も読んだ本の紹介。タイトルにある『ヤノマミ』という本は国分拓というNHKのディレクターが書いたアマゾンの奥地にいる原住民族への取材体験記である。もともとはその取材が元になってできたドキュメンタリーの方が先に世に出て、話題になったため、取材…

『窯変 源氏物語』と、平凡な大学院生から見た橋本治

橋本治『窯変 源氏物語』を読んでいる。 窯変 源氏物語〈1〉 (中公文庫) 作者: 橋本治 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1995/11/18 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 7回 この商品を含むブログ (35件) を見る 『窯変 源氏物語』は橋本治による、『源…