On the Homefront

東京大学文科3類ドイツ語クラス卒業生の共同ブログです。個々人が、それぞれに思うことを述べていきます。

江藤

あけましておめでとうございます:経済分野の新書を読んで迎えた年始

あけましておめでとうございます。 年末年始はだらだら本を読んだり映画を見たりし、その合間に美味しいものをしこたま食べるなどしていたら終わっていました。そう言えば、お風呂屋にも三回行きました。以下では、読んで面白かった本を紹介します。なんとな…

暴力を描く作品を欲する

ふらふらとただ快を求めているうちに、快に溢れるというのではないが、不快がほぼない生活を得た。「得てしまった」という方が正しいかもしれない。通勤時間は長いが都内からの下りなので行き帰りともに座れないということがない。大抵の場合は座った席の隣…

親に反抗する子供達の様が安易かも… 映画ITを観た感想

昨日友人に誘われて映画ITを観た。前半は映し方、テンポともに本当によく、ハリウッド映画のソフィスティケーションはすごいなとただただ感心していた。ここ最近Jホラーばかり観ていたこともこの感想に影響している。 しかし、表題にあげた通り、後半の、特…

宮崎駿の新作タイトルが『君たちはどう生きるか』だと聞いて驚く

どうやら宮崎駿の新作映画のタイトルは、朝日新聞によれば『君たちはどう生きるか』らしい。正直かなり驚いた。この情報は朝日新聞デジタルより。 www.asahi.com 同記事にも言及があるように、このタイトルは吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』からとった…

雨の日の投票所へ行ってきます

数日前から小説が全く読めなくなってしまっているのだけど、なぜかといえば、実社会での話題に感心が向いているからだ。選挙が気になっているのである。正確にいえば、選挙自体の結果というよりは、選挙に際して噴出する様々な議論が気になっているのだ。そ…

『窯変 源氏物語』と、平凡な大学院生から見た橋本治

橋本治『窯変 源氏物語』を読んでいる。 窯変 源氏物語〈1〉 (中公文庫) 作者: 橋本治 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1995/11/18 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 7回 この商品を含むブログ (35件) を見る 『窯変 源氏物語』は橋本治による、『源…

欲望するからAVを観るのではなく、欲望の対象を見つけたくてAVを観る。

昨日友人と話している時に「夕食の後は結構AVを観る」と言われ、「食事の直後って私あんまり性欲が高まって興奮するという感じじゃないんだよね。平常状態でAV観ると気持ち悪くなったりしない?」と聞くと、「でも、僕は基本的に平常状態で観始めるよ。AV。…

偽の歴史というジャンル:フィリップ・K・ディック『高い城の男』

大学一年生の時、シラバスでふと見つけた船曳ゼミに未だに参加しています。文化人類学者の船曳建夫先生のゼミです 最近、そのゼミの読書会で、フィリップ・K・ディックの『高い城の男』という作品を読んだので、感想を書いておきます。 高い城の男 (ハヤカワ…

生徒に影響力を及ぼしたい、という欲望

江藤である。 △ 今日は、顧問をしている部活動の練習試合があったので、1日学校にいた。たるいなと、思ったし、休日を謳歌したいなとも思ったのだが、引き受けた以上仕方がない。ちなみに、最近よく話題になっているように、部活動のための休日勤務に対する…

繊細さを失わず、生活を見つめる:津島佑子「水辺」

昨夜は眠れなかった。築30年を超える私のアパートの窓は、時折激しくガタガタと鳴って、その度にまどろみから覚まされた。そして、このような嵐の夜に、その風雨の影響を受けず曲がりなりにも睡眠をとることができるとはなんということだろう。住むべき家が…

コンプレックスをばねにする−−−でも、何のために?

超難関中高一貫校から東大に落ちた人の一部は東大コンプレックスを抱くようだ。そもそも日本一入試偏差値が高い大学なのだから、普通に人生を送っていれば入れなくて当然であるのだが、中高時代の成功体験に縛られ、苦悶の末に入らないことを選択した瞬間/度…

私的吉祥寺の喫茶店レビュー

吉祥寺はとても混む街だ。文京区に引っ越してそれがよくわかった。 市部で育った私は、引っ越す前、東京23区のど真ん中である文京区などは常に人でごった返しているものだとばかり思っていた。吉祥寺はいつも人が多いが、都内はもっとひどいのだと思っていた…

喫茶店のレビューをする

大学院生時代は常に喫茶店を巡っていた。自分の机や自分の本棚といったものが大学内に与えられなかったからだ。 東京大学で?−−−そうなのである。少なくとも、駒場の人文系院生で自分の机というものを持っている者はほとんどいない気がする。本郷の方でも、…

「時は金なり」という病気

江藤である。少しサボりすぎてしまったが、通常運転に戻していく予定。 次から次へととにかくこなしていくことが中心の生活であると、余りの時間がなくなってしまう。もちろん、空き時間はあるのだが、「空き時間」とは埋まっていることが前提の、私の有する…

一人暮らしで迎えた変化

最近一人暮らしを始めた。当然に孤独を感じる機会が増えた。 何も家族と住まなくなったことだけが、その理由ではない。いくつかの偶然が重なり、人を避けようと思えばいくらでも避けることができるようになったのだ。 例えば、朝の電車は下り方面に乗ること…

『地獄先生ぬ〜べ〜』における巨乳

( 江藤である。)) 昨日、以前家庭教師をしていた子と艦コレに関してラインしていて、酔っ払っていたのも手伝い「やっぱ胸っておっきいほうがいい?」と聞いたら「胸で決めるようになったら男は終わりじゃないですか?」とか切り返され、色々ひどかったんだけ…

「ただ、生きていって欲しい。死なないで欲しい。」

大学の学部生だった時に、数人の家庭教師をやっていた。その中に、今でも継続的に付き合っている生徒がいる。もう僕は「教師」ではなくなり、彼は「生徒」ではないのだから、僕にとっては年若い友人だ。 昨日彼と喫茶店で喋っていた時に、印象的だった下りが…

物語る力/創作の力とは何か

最近、twitterで自分と同じように、中高の教員をしている人をフォローするようになった。そうしてフォローした中の一人がつぶやいた以下のようなつぶやきが、昨日私のタイムラインに投稿された。二つの企業に内定した卒業生に対して、教員をしているツイッタ…

今学期の雑感

毎週日曜日、この時間になると、「明日からまた仕事か」という気分になる。教えている生徒たちが休み中にどのように過ごしているのか、そのようなことを想像し、かつまた時にはにやけながらも、「明日の一限は…」ということを一つ一つ考えはじめ、頭を仕事に…

「文三」とは一体何なのか

東大の文三生を2年やり、またその後も「文三出身」として生活をしていると、否応無しに「文三」を貶める発言を聞く。「東大って言っても文三でしょう?」という言葉を文三出身である私に直接的にあびせてくるほど勇気のある人には(幸運にも?)お目にかかっ…

このブログの設立に関して

毎日疲れる。大学院を修了し、ふと思い立つように働き始めて二ヶ月。これまでも、アルバイトなどで、大文字の「働くこと」とは無縁ではなかったはずだが、上司の常なる監督のもと朝から晩まで仕事に励むというのは初めての経験だ。だから、相応の疲労がある…