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東京大学文科3類ドイツ語クラス卒業生の共同ブログです。個々人が、それぞれに思うことを述べていきます。

総選挙順位発表スピーチの場で結婚発表することについて~人生を危険に晒す須藤先輩さすがっす!!~

 6月17日の『第9回AKB48選抜総選挙』の開票イベントにおいて、NMB48の人気メンバー「りりぽん」こと須藤凜々花さんが結婚を発表しました。

 

 非常に知名度の高いアイドルグループに所属する、現役アイドルの晴れの舞台での突然の結婚報告は、大きな波紋と混乱を招いたと思われます。今回の選挙でも1位をとった48グループで最もテレビに出演している指原莉乃さんや、今回の総選挙には出場しなかったが前年の紅白歌合戦での投票では1位を獲得したNMB48のリーダー山本彩さんを含む多くの現役メンバーや、過去に総選挙で1位をとったことのある大島優子さんや、元総監督だった高橋みなみさんなど、すでに卒業したメンバーもブログやSNSで様々なコメントを残しました。また、お昼のワイドショーではご意見番と目される坂上忍さんが言及したり、また人間観察と毒舌に定評の毒舌トーク冠番組でMCもこなす有吉弘行さんは、自身がメインパーソナリティを務めるラジオ番組でこのことについてふれました。インターネット上で話題の出来事について持論を述べたりする炎上系youtuberシバターさんもこのことについての動画を2本上げました。そして、実際youtubeでは急上昇に関連動画が独占される事態が起こったり、またツイッターでもこの話題はトレンド上位にのぼったりし、このことからも多くの人々の関心事であることはうかがえます。

 

 私は、おそらく須藤さんのファンというほどではないと思いますが、以前からバラエティ番組での突拍子もないことを言ったり(エピソードトークのコーナーでおぎやはぎが司会を務める番組でアダルトビデオを見ていたときの話を、あまりそういう空気でもないのにしだしたのは印象的でした)、ディスコミュニケーションを感じさせるような相槌をしたり(須藤さんはよく「さすがっす!」と言いますが、人によってはちょっとバカにされてるような印象を持つような言い方のように思われます)する、須藤さんの振る舞いが面白いなあと思い、たまに彼女のツイッターをチェックしたり、彼女が共著で出した『人生を危険に晒せ』を読んだり、彼女がセンターを務めた曲『ドリアン少年』を聴いたりと、それなりに関心を持っていました。

 

 そのような立場からすると、須藤さんの今回の発言は、「やっぱりりりぽんは面白いなあ」という感想を抱くものでしかありましたが、巷にあふれる、ルールやモラルを持ち出して、許せないと憤るような反応は、ちょっと共感できないものでした。でも、そうした反応は、現在の社会規範や人間の感情のサンプルとして、とても示唆的なものだと思いました。たくさんのお金を払ってくれたファンや客に許される感情、そこであるとされる正当性の問題、ルールの穴をついたりこっそり破られているルールを堂々と破ったりすることはどのように扱われるべきなのか、本音と建前について、そもそもアイドルとはなにか、あるいはファンとはなにか、などなど。

 

 「哲学者を目指している」と、少なくとも日本において(外国でもきっとそうなのだろうとおもいますが)白眼視されるようなことを堂々と言い放ち、麻雀やヒップホップなどに関心を寄せ、独自のスタンスで、芸能活動をしてきた須藤さんが、今回のような騒動を引き起こす発言をしたのは、おそらく、このような状況でこのような発言をしたら、人は、社会は、どのような反応をするのか、という好奇心に基づいた、須藤さんの実験精神のようなものに起因している部分もあるように思います。だとすると、実際、人々の心は揺さぶられ、社会は大きな反応を示したと思うので、すごいです。実験成功といっていいと思います。

 

 ツイッターでは、プロデューサーである秋元康さんが過去に雑誌の対談で「総選挙のステージで結婚発表するのが一番かっこいいよね!」と述べていたことも今回の騒動をきっかけに話題になりましたが、私もやっぱりあんなことをしてしまう須藤さんは最高にクールだと思うし、アイドルと観客というコードに載せて発言するなら、ステージ上での須藤さんの姿にたくさんの元気をもらえました。(ありがとうりりぽん!結婚おめでとう~!最高にクールだよ!)

 

須藤先輩、さすがっす!!

 

 

 

 

中江