On the Homefront

東京大学文科3類ドイツ語クラス卒業生の共同ブログです。個々人が、それぞれに思うことを述べていきます。

夏休みは8月31日に終わらない

 藤子マンガが好きなのでついドラえもんの話題が多くなってしまうのは許してほしい。のび太が夏休みの宿題に追われている夜の日付が8月31日だと知ったとき、幼い頃の私は奇妙に思った。そんな時期にはとっくに夏休みは終わっているじゃないか。分かりやすいように8月いっぱいは夏休みという設定にしてしまったのか?

 小学生くらいまではせいぜい学校が世界の全てだったから、東北で生まれ育った私には「8月31日」の意味が本気で理解できなかったのだ。日本のほとんどの小中学生にとっては「夏休み」は8月最後の日まで続くのがふつうであり、お盆過ぎには夏休みが終わってしまう我々の方が例外なのだ、ということを知ったのはいつのことだったろうか。

 

 夏休みが長くてずるいとか、短いのは不公平だとか、そういうことは当時から全く感じなかった。その分冬休みが多少長いことも分かっていたし、地域によってそのくらいの差はあって当然だろうと。恨めしいのは、例えば「『夏休み』子ども科学電話相談」と題したラジオ番組が、8月最終週に全国放送で流れる、みたいなこと。その時期にはもう学校が始まってる子供も全国にはいるんだけど、平気で夏休みって言われることに白けた思いがする。

 かつてそういう子供だった私は、ぼくたちは「全国」には含まれないから、「全国」でやってることの半分くらいはぼくたちには関係ないもんな、と諦めることを身に付けていた。お前らは関係ないけどね、と遠くで盛り上がっている様子を見せられているような。田舎に住んでいたらそんなことばかりだから。それでいて、我々が我々の「ふつう」でものを言ったとすると、今度は「北から目線」とかって非難されたりして。

 

 相も変わらず、8月下旬から学校が始まる地方の小中学生なんか存在しないものであるかのように世の中が回っていくのが疎ましい。夏休みは短くていいから、夏休みが短い地方の子供たちも全国の子供たちの一部として扱ってほしいだけなんだ。